『昔の習慣(上)』
係長:昼から夕方にかけての、大事な会議お疲れさまでした。私は司会(1)進行とても緊張しました。
課長:係長はいつも緊張しがち(2)だな!まあ、今日は本社の田中部長も来ていたから、緊張しないことはないな。
係長:はい。いつもの会議と違って、緊張してずっとお腹が痛かったです。
課長:せっかく今日はいつもより早く会議が終わったんだ。飲みに行こう!!
秘書:お話し中すみません。本社の田中部長から先ほど電話がありました。
課長:会議が終わって帰ったとたんに田中部長から電話だって⁉わざわざ電話してくるとは・・・なんだろう。何か会議でやってしまったっけ(4)?
係長:いえ、何も。
課長:田中部長と話すのはご無沙汰気味だなあ。もしも急用ならいけないから河野秘書、折り返し電話してつないでくれないか(5)(6)?
秘書:あっ!山田課長、今田中部長から電話が入ったので、そちらにお繋ぎします。
課長:了解!・・・もしもし、山田です。田中部長、ご無沙汰(7)しております。
部長:山田君、会議は無事終わってよかったな。どうしても、早く君と2人で話がしたくて。君は40歳、独身でいいんだな?
課長:はい。独身です。色々あったんですよ。聞いてくれますか?
部長:うん、話してごらん。何があったか聞いてあげるよ。
課長:3年前に彼女と別れたきり、フリーなんです。仕事が忙しいという理由で、彼女とすれ違いが多くなって、彼女の怒りっぽい性格が酷くなってしまったんです。口喧嘩どころか、蹴られたこともあったんです。DV(9)が増えて依存されて、それを我慢して・・・別れずにはいられなかったんですが、限界がきたので、逃げました。
部長:なるほど。それは別れて正解だ。仕事の忙しさを理解できない人やDVをしてくる人は、どうしても結婚には向いてない(10)よ。いい人を見つけるのは、難しいよな。
課長:はい。1年前付き合いかけた人がいたんですが、その相手(11)はまさかの既婚者でした。もしもまた、既婚者ならどうしようかと、人を信じられずまだ彼女を見つけていません。それにもう、40どころか42歳なんです(12)・・・どうしましょ。このまま独身は嫌なんです~。
部長:そうか。電話では伝えきれないから、一度二人っきりで会って話がしたい。君の人生を左右する大事なことだ、お見合いだよ。男同士の真剣な話がしたい。どうしても君に勧めたい人がいるんだ。
課長:あ、お見合いですか?!初めてで戸惑います・・・でも、その機会を頂けるのは嬉しいです。有難うございます。『昔の習慣(下)』
課長:こんにちは。お邪魔します(1)。これ、※つまらないものですが、皆様で召し上がってください。
部長の妻:こんにちは。お久しぶりね。私この和菓子(2)大好きなの!ありがとう!
部長:わざわざ遠いところから我が家(3)まで来てくれてありがとう。感謝するよ。早速だけど実はね、君のファンである女房がどうしても君をお見合いの相手に選びたいと言い出してね。女房はお見合いの女性と仲が良くて昔からの友人なんだ。
部長の妻:急にごめんなさいね。もしも私の友人が結婚するなら、あなたがぴったりだと思って!彼女は山田課長(4)と同じで、仕事に熱心で、人にも優しく思いやりのある人なの。
課長:お見合い相手に選んで頂き光栄です。
部長:君は結婚の事どう考えているんだ?
課長:もちろん生涯一緒に生きていくパートナーや、家族が欲しいので結婚したいと思ってます。もう42歳なので出来れば早く結婚したいと思っています。せっかくのチャンスをつかみたい(5)ですが、私でも大丈夫ですかね・・・
部長:42歳で結婚できない事はないよ。焦らなくても大丈夫。君は私と違って背が高いしいけめんで、容姿だけでなく教養もあるし、仕事もできる。部下からも慕われてる。特に性格がいいから、女房も私も山田課長を勧めるよ。そうそう、彼女、君と同じで大阪大学出身なんだよ。年齢は37歳、美人だし、とても人柄がよくて良い人だよ。小池と言うんだが(7)知ってるかい?
課長:えっ、小池さん、大阪大学出身なら誰でも知ってますよ。※ミス阪大コンテストとで1位になった人じゃないですか!!えっ、本当ですか?数年前に面識もありますよ、お話しやすくて面白っぽい人だなっていう印象があります。実は少し気になっていた(9)人なんです!!!
部長の妻:あら!偶然(10)ね!前に一度会っているのなら、話は早そうね!!2人は気が合いそう!!
部長:そうだな、私もそう思うからその点は同じだな。じゃぁ、日程を決めて会ってみるかい?どうしたんだ?黙り込んで!泣きかけてるのか?!
課長:運命を感じました(11)。とても嬉しいんです。42歳で諦めなくてよかった。まさか結婚できるとは!
部長:おいおい、まだ結婚が決まったわけじゃないぞ。はっはっは
課長:このままじっと(12)待たずにはいられないです。嬉しさが溢れ出てきます!少し叫んでいいですか?
部長:おう。好きなだけ叫びなさい。
課長:やったーーーー!!!!やっほーーー!!!(13)
部長の妻:ほんと、純粋な人で面白い。2人が幸せになってくれますように!
※つまらないものですが:日本人は昔、手土産を渡す時に「つまらないものですが」と言って相手に渡していた。それは、日本人が美徳とする配慮表現の1つで、自分の行動をへりくだって言うことで相手を立てる謙遜表現になる。しかし最近は、そこまで謙遜する必要がない、という風潮が高まっていて、日本社会全体がぐろーばる化していくなかで、欧米的な考え方をする人が増えてきた。また、「つまらないものですが」の真意が伝わりにくくなっている。「つまらないものを私に持ってくるなんて」と気を悪くしてしまう人もまれにいるため、最近では「心ばかりですが、皆様で召し上がっていただきたいと思いまして」や「ほんの気持ちです」「ささやかなものですが、みなさまでどうぞ」のような表現に変わってきている。
※みす阪大コンテスト:「阪大」は「大阪大学」の略称。大学内での美しい人が選ばれるコンテスト
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